イヴ・ボンヌフォワ『ドゥーヴの動と不動』
 「ドゥーヴは語る」 より

どんな言葉がわたしのそばに立ち現れ、

どんな叫びがありもしない口の上で叫ばれたのか?

わたしに向けられた叫びはかろうじて聞こえるばかり。

わたしを名指す息吹はかろうじて感じられるばかり。

だがわたしに向けられたその叫びはわたしから発し、

わたしは自らの不条理に閉じこめられる。

どんなに神々しくどんなに奇妙な声ならば

わたしの沈黙に潜むことに同意しただろう その叫び以外に?

訳:松村栄子