ひとつの声

イヴ・ボンヌフォワ『ドゥーヴの動と不動』
 「ドゥーヴは語る」 より

どんな家を おまえはわたしのために建てたいの、

どんな黒い文字を 火がやってくるときに?

長いことわたしはあなたの合図の前でためらった、

あなたはわたしをいかなる密度からも追い立てた。

けれども絶えることのない夜がわたしを守り、

くすんだ馬に乗ってわたしはあなたから逃げる。

訳:松村栄子